提灯を提げて歩いた真っ暗な夜道
どんな伝承か
私は昭和三十七年に脳卒中で倒れた。人に付き添われて病院へ行き、手術台の上に横たわった。病室に入るとき「よろしくお願いします」と言ったが、その後のことは覚えていない。気がつくと、私はひとりでブラ提灯を提げて、とても静かな真っ暗な夜道を歩いていた。誰にも会わなかったが、少しの不安もなかった。歩きながら、これがあの世へ行く道か、あの世がこんなに静かで落ち着いた所なら行ってもよいなあと思った。そのまま歩き続けたが、そのうち目が覚めた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。