隧道に残る轢死した馬の霊
どんな伝承か
遠隔霊写実験の第三の地点は、湯本村小野田炭山の軽便軌道の隧道内であった。乾板を持って入った二人は、隧道内でその時刻になると頭上に二三名の囁き声が聞こえ、同時に一陣の不可思議な風が起こったが、その後は何の変化もないので不思議に思いながら帰った、と異口同音に語った。現像された乾板には、囁き声を起こしたものらしい顔や、全面に赤紅色を帯びた不規則な肉状のものが飛び散った様子が現れていた。栗毛の馬の脚から飛び散った血汐らしいものも見える。調べると明治二十九年三月二十日、この隧道内で軌道馬車が衝突し、車体の間に挟まれた馬一頭が轢死していた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心靈寫眞の研究(大和田徳義・1920年(大正9年))
『心靈寫眞の研究』は、大和田徳義が大正九年に著した心霊写真の研究書である。英国の心霊現象研究会以来の肯定説と否定説、マムラーやホドソンら諸外国の心霊写真の歴史をたどったうえで、東京の心霊写真家日光氏が始めた「霊写」の種類と実験例、福来友吉と長尾郁子による念写の実験とその批判を述べる。自序と全八章、「結び」からなり、霊写を物理・化学・心霊の三つの特性から論じ、念写とは能力や美術・宗教上の価値が異なると説く。