胸に跨がる女と二夜続いた金縛り
どんな伝承か
小山内薫が麹町三番町の借家で遭った怪異の続き。枕元の女が現れた晩、彼は帯から上をどうしても見ることができず、手も動かせず声も出せないまま十五分ほど悶え、叫び声とともに跳ね起きると女は消えていた。翌晩は充分に注意して寝たが、再び胸が苦しくなり、目を開けると同じ着物の女が自分の胸の上に跨がっている。石のような重さで身動きできず、仰向けのままではやはり帯から上が見えない。ランプも書棚も見えており夢ではないと思った。小山内は二度と自室で寝ず、巣鴨の新居ができると移った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
あの世はあった―文豪たちは見た、ふるえた(三浦正雄・矢原秀人・2006年(平成18年))
『あの世はあった――文豪たちは見た!ふるえた!』は、三浦正雄と矢原秀人が二〇〇六年に著した、近代日本の作家や知識人の霊体験を紹介する読み物である。熱海の旅館で遠藤周作と三浦朱門が同時に遭った幽霊、佐藤愛子の心霊現象、菊池寛・宮沢賢治・小泉八雲・土井晩翠・新渡戸稲造・南方熊楠らの体験、夏目漱石の臨死体験を、本人や周囲の文章を引いて語る。一人一章の全十二章にまえがき・あとがきを添え、巻末に霊媒クランドン夫人の実験記録を付録として収める。