狼と闘って死んだ父駒を祀る山の神
どんな伝承か
昔、田村郡船引町の井堀部落ではどの家でも馬を飼っており、共有の父駒を一頭飼育していた。田植えの頃には馬を黒石山や鞍掛山に放牧したが、ある日、放した馬たちが突然山から駆けおりて来た。最後の牝馬を追って来た父駒は、牝馬がみな戻ったのを見ると再び山へ駆け登った。あとを追った部落の人々が見たのは、駒と狼との凄惨な闘いであった。駒はついに首筋を噛まれて息絶え、人々は狼を追い散らして駒を柴平に葬り、松を植えた。駒の霊を慰めるため大岩の根方に祠を造って祀ったのが今の山の神で、春の種子蒔きあがりに祭を行うので種子蒔山の神、供える焼米から焼米山の神ともいう。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
船引町史 民俗編――昔話と伝説(船引町(編)・船引町史・自治体史(民俗))
『船引町史 民俗編』第十一章所収の昔話と伝説。福島県船引町(現田村市)に伝わる口承を採録する。