かげ沼の主に嫁いだ竜子姫
どんな伝承か
移の長法寺には竜が奉納されており、次のような伝説がある。横道の伊母礼沢に竜子姫という一人娘がいた。あるとき病になり、いろいろな治療をしても治らなかったが、山の上にあって底なし沼とも呼ばれる「かげ沼」の水を飲むと、たちどころに癒えた。以後、病むたびにこの水を飲んで治ったという。ある朝、姫が突然いなくなり、かげ沼の松の木に着物がかかっていた。村人が沼の底を探ると立派な家があり、機を織る姫がいた。沼の主の竜に見込まれて妻になったので帰れないという。両親は嘆き悲しみ、姫の供養にその子孫が竜を奉納したと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
船引町史 民俗編――昔話と伝説(船引町(編)・船引町史)
『船引町史 民俗編――昔話と伝説』は、船引町が編んだ町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。昭和五十三年春から町内を回って集めた昔話を話者の名を添えて土地の言葉のまま載せ、坂上田村麻呂や安倍貞任にまつわる地名・社寺の由来など町内の伝説を併せて記す。第一節では語り収めの句、葉煙草ののし作業を語りの座とした伝承の環境、語り手の系譜を論じ、第二節では伝説を自然・歴史・宗教の三つに分けて紹介する。