ナスで竜神を鎮めたなすとりかえ神事
どんな伝承か
戦国の昔、入間川の諏訪の里で奇怪な事件が起きた。諏訪神社の裏手にお諏訪さまの池という底なしの沼があり、そこにすむ魚が次々と死に、やがて農作物にまで害が及んだ。村人は諏訪の大神に里の安泰を祈った。翌朝、畑仕事を終えて沼のそばを通ると、水しぶきを上げて竜神が暴れている。人々は鎌や鍬を投げつけ、娘たちは採ったばかりのナスを籠ごと投げ出して逃げ帰った。強者が恐る恐る戻ると、沼には鍬だけが浮かび、水面は静まっていた。その後、村人の夢枕に竜神が現れ、夏の病に苦しんでいたところ投げられたナスで楽になったと詫び、以後は諏訪の大神に仕えると告げた。それから里では、病気よけにナスを用いるようになったという。
原典より
遠い戦国の昔、ここ入間川の諏訪の里に一つの奇妙な事件がおこった。—— 狭山市史 民俗編(狭山市(狭山市史編さん室/民俗調査担当)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
狭山市史 民俗編(狭山市(狭山市史編さん室/民俗調査担当))
『狭山市史 民俗編』は、狭山市の市史のうち民俗を扱う巻で、ここにはその「五 伝説・昔話・世間話」の部分が収められている。堀兼・入間・奥富・柏原・水富・入間川の各地区で古老の座談会と個別の聞き取りによって集めた話を、話者の地区・名・生年を添えて載せ、不老川や堀兼の井、影隠地蔵、キツネ、豪商綿貫家の話などを含む。伝説は水・動物・植物・地名・人物・塚・神仏・地蔵・妖怪変化など十項に分け、話ごとに[解説]を付す。