盆踊りに現れたノッペラボウの女
どんな伝承か
浜通り地方の平の町は盆踊りが盛んで、遠くからも人が集まり、夜通しじゃんがら念仏を踊ったものだ。輪になって踊る中に、人目を惹く若い女がいた。派手な着物を着て手拭をかぶり、顔はわからないが柳腰で美しかった。踊りが終わって女が帰ると、三人の若者が後を追い、いい踊りだったと声をかけた。女は褒められた礼に何かしたいが持ち合わせがないと言い、それなら姐さんのからだでもいいと言われて、一人ずつおいでと草むらに入った。別れ際、若者たちが顔を一目見せてくれと頼むと、女は手拭を取った。顔はノッペラボウで口だけがあり、歯にはおはぐろが付けてあったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・1974年(昭和49年))
『東北怪談の旅』は、山田野理夫が昭和四十九年に編んだ東北地方の怪談集である。青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島の六県に伝わる妖怪や幽霊の話、飢饉と間引にまつわる話、江戸時代の奇談などを、一番から一六三番までの短い話として収める。各話の末尾に県名を記し、恐山や飢饉の記録にふれて東北の怪談と怨念を結びつけるまえがきと、怪談観や霊能者をめぐる回想を記したあとがきを付す。