穴一念を見られた娘と幽霊石
どんな伝承か
奥州福島の余目にある金源寺の住職は書がうまく、手習いに通う者が多かった。小姓頭の石栗勘由もその一人で、遅くまで手習いをして墓地の路を帰る夜、カチッカチッという音を聞いた。近寄ると若い娘が穴を掘り、数間離れた所から小石を投げ入れていた。願を懸けて石を穴に入れる穴一念である。三度目に勘由が声をかけると、娘は心願を見られて破れたと言い、口を大きく開いておまえを食うと迫った。勘由が抜刀して斬りつけるとカチンと手応えがあり、娘は消えた。翌朝、墓石のかたわらの石が切られ、血がべったりと付いていた。以来その石は幽霊石と呼ばれ、いまも金源寺に残るという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・昭和49年(1974年)頃)
東北怪談の旅(山田野理夫)/飢饉の非業の死と怨念/巫女(イタコ)の口寄せ/座敷童子・河童の怪/東北各地の幽霊伝承