富貴自在をもたらす座敷の童児
どんな伝承か
旧家にはザシキワラシという神の住みたもう家が少なくなく、この神は多くは十二、三ばかりの童児で、おりおり人に姿を見せることがあると、岩手県遠野地方の民俗誌に見えている。旧家に住み、この神の宿る家は富貴自在であると信じられている一種の精霊である。ザシキワラシと呼ぶのは主に岩手県だが、同じ岩手でも上閉伊郡あたりではクラボッコ、九戸郡ではクラワラシという。この神が住む座敷に寝ると枕がえしをされたり、体の上を押しつけられたりし、相撲を取る音や糸車をくる音が聞こえるともいう。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河童・天狗・妖怪――民俗随筆(武田静澄・武田静澄・民俗随筆・1956年(昭和31年))
『河童・天狗・妖怪――民俗随筆』は、武田静澄が昭和三十一年に著した民俗随筆である。天狗と神かくし、河童、座敷わらし、山の神と山の妖怪、狐狸とつきもの、水辺や海の亡霊、死霊と御霊などをめぐる伝承を、『今昔物語』などの古典の説話と各地の民俗の事例から集めて語る。短い見出しを立てた小文を連ねる形をとり、神かくしにあう心理や幻覚、お化けの心理にも触れて、妖怪を信じる心のはたらきを考える。