屋根の足代を走る座敷わらし
どんな伝承か
明治の末ごろ、登米郡南方町の旧家佐々木林之助の家には、古くからザシキワラシがいると言い伝えられていた。屋根の葺き替えを終えた日の夕方、十二、三歳ほどに見える少女が、軒に渡した修理用の足代板の上を自在に走り回るのを、手伝いに来ていた大勢の村人が目にしたという。この家ではザシキワラシは常に奥座敷にいると信じられ、床の間に茶碗の水を供えていた。座敷を掃くような音がすることもあったが、家人は少しも恐れず、そっとしておいたという。主人自身が語った話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県史 民俗編(茂木徳郎(「妖怪 幽霊」の章)・宮城県史シリーズ)
『宮城県史 民俗編』は宮城県の県史の民俗編で、ここに収めるのは茂木徳郎が執筆した章「妖怪 幽霊」である。山・道・木・水・海・雪・家など出現の場所による分類に沿って妖怪変化を論じ、幽霊とヒトダマ・死霊・生霊の観念を考えたうえで、県内の妖怪・幽霊・動物変化の伝承を郡・町村名を添えて集める。序説・本論・事例篇・参考の順に並び、序説では昭和二十四年の迷信調査と昭和三十年のNHK仙台中央放送局の調査にも触れる。