坂を転がる薬罐の怪
どんな伝承か
「道の怪」の一つにヤカンザカがある。夜分に坂道などを通ると、薬罐が現れて坂を転がって行くなどといわれた。東京にもこうした気味の悪いやかん坂があったといい、仙台でもほぼ同じことが伝えられている。ヤカンに野干・野狐の字をあてたものもあるという。同類の怪には、夜分に坂路を通るとテンコロ(衣打ちの砧または槌)が転がって行くのを見るという岡山地方のテンコロコロバシがあり、茶碗ころばしと呼ばれるものもほぼ同じだとされる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県史 民俗編(茂木徳郎(「妖怪 幽霊」の章)・宮城県史シリーズ)
『宮城県史 民俗編』は宮城県の県史の民俗編で、ここに収めるのは茂木徳郎が執筆した章「妖怪 幽霊」である。山・道・木・水・海・雪・家など出現の場所による分類に沿って妖怪変化を論じ、幽霊とヒトダマ・死霊・生霊の観念を考えたうえで、県内の妖怪・幽霊・動物変化の伝承を郡・町村名を添えて集める。序説・本論・事例篇・参考の順に並び、序説では昭和二十四年の迷信調査と昭和三十年のNHK仙台中央放送局の調査にも触れる。