土井晩翠宅の招霊会と石井五郎の霊
どんな伝承か
昭和九年十二月二十八日、松島湾内で第二高等学校ボート部のボートが転覆し、選手十人が全員溺死した。生存者も目撃者もなく状況が分からぬため、二高教授の発案で、盛岡に住む主婦で霊媒として知られた小林寿子を招くことになった。翌昭和十年一月二十六日、仙台の土井晩翠宅の二階を会場に、大学教授や二高教授、遭難関係者ら三十五、六名が集まった。浅野和三郎の進行で寿子が目を閉じると、まず和彦という子供の霊が遭難のときの様子を語り、続いて若い男の声で「僕五郎です」と名乗る、選手を指導していた大学生石井五郎の霊が現れたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
あの世はあった―文豪たちは見た、ふるえた(三浦正雄・矢原秀人・2006年(平成18年))
『あの世はあった――文豪たちは見た!ふるえた!』は、三浦正雄と矢原秀人が二〇〇六年に著した、近代日本の作家や知識人の霊体験を紹介する読み物である。熱海の旅館で遠藤周作と三浦朱門が同時に遭った幽霊、佐藤愛子の心霊現象、菊池寛・宮沢賢治・小泉八雲・土井晩翠・新渡戸稲造・南方熊楠らの体験、夏目漱石の臨死体験を、本人や周囲の文章を引いて語る。一人一章の全十二章にまえがき・あとがきを添え、巻末に霊媒クランドン夫人の実験記録を付録として収める。