廃車の中を検めるボランティア
どんな伝承か
二〇一一年四月の半ば、仙台市の山に近い北西部に住む男性は、操業中止となった会社の斡旋で、宮城県南部の被災した町へバスで通いボランティアをしていた。がれきの整理や遺品の分類をしていたある日、地域の消防団員から「廃車場や車がたまっているところで、車の中などにご遺体がないか確認してほしい」という急な指示が来た。五人ずつの組に分かれ、消防団員や市役所の人が一グループに一人ずつ付いて廃車の内部を点検した。付き添った初老の団員は、先週、夜間に車で移動していた団員二人が、カーブのない直線道路で自損事故を起こしたと語り出した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
震災後の不思議な話-三陸の怪談(宇田川敬介)
『震災後の不思議な話-三陸の怪談』は、宇田川敬介が著した東日本大震災の被災地の怪異談集である。復興の手伝いで通った三陸の人々から聞いた虫の知らせや生死を分けた出来事、津波の犠牲者の霊、タクシーの幽霊などの話を、津波の言い伝えや『遠野物語』、オシラサマ伝説とあわせて記す。全体を「迫りくる危機と虫の知らせ」から「見守っています」までの四幕に分け、「おわりに」で取材の動機と、話者の名や地域を伏せた方針を述べる。