山で消えた三歳児と山女の噂
どんな伝承か
昭和十年ころ、宮城郡宮城町字広瀬で、ある中年の婦人が三つになる女児を背負い、仲間と一緒に薪を伐りに山へ出かけた。仕事をする間、幼児を傍らの草むらに寝かせておいたが、しばらくして見ると姿がない。名を呼びながら探し、連れの人たちや消防団の力も借りて山中を捜しまわったが見つからないまま夜になった。翌朝さらに大がかりな捜索を行ったところ、二た山越えた隣の部落の山の中腹の岩の上に、木の葉を敷いてぽかんと腰をおろしている幼児が発見された。幼児は「母ちゃんといっしょに寝た」と言うばかりで、村人は山女か狐の仕業であろうと語り合ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県史 民俗編(茂木徳郎(「妖怪 幽霊」の章)・宮城県史シリーズ)
『宮城県史 民俗編』は宮城県の県史の民俗編で、ここに収めるのは茂木徳郎が執筆した章「妖怪 幽霊」である。山・道・木・水・海・雪・家など出現の場所による分類に沿って妖怪変化を論じ、幽霊とヒトダマ・死霊・生霊の観念を考えたうえで、県内の妖怪・幽霊・動物変化の伝承を郡・町村名を添えて集める。序説・本論・事例篇・参考の順に並び、序説では昭和二十四年の迷信調査と昭和三十年のNHK仙台中央放送局の調査にも触れる。