栗の大木に座る老婆と童子
どんな伝承か
昔、登米郡米山町の吉田にある永沢山善王寺に栗の大木があった。幹の中ごろが二股に分かれたところは「姥が腰掛け」と呼ばれ、それと相対した枝の分かれは「童子の腰掛け」と呼ばれていた。夕方など時折、一方には白髪の老婆が腰掛け、向かい合った方には童子が腰をおろして麻編みなどをしているのが見うけられたという。ある時、鉄砲自慢の男が狙いを定めて発砲したが、老婆がニタニタと笑ったので気味が悪くなって逃げ帰った。古狸の仕業だろうと噂された。この老樹は昭和の初め頃に伐り倒され、今は無い。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県史 民俗編(茂木徳郎(「妖怪 幽霊」の章)・宮城県史シリーズ)
『宮城県史 民俗編』は宮城県の県史の民俗編で、ここに収めるのは茂木徳郎が執筆した章「妖怪 幽霊」である。山・道・木・水・海・雪・家など出現の場所による分類に沿って妖怪変化を論じ、幽霊とヒトダマ・死霊・生霊の観念を考えたうえで、県内の妖怪・幽霊・動物変化の伝承を郡・町村名を添えて集める。序説・本論・事例篇・参考の順に並び、序説では昭和二十四年の迷信調査と昭和三十年のNHK仙台中央放送局の調査にも触れる。