わらぞうりを納める子育ての鬼子母神
どんな伝承か
上広瀬の信立寺には鬼子母神を祀る堂がある。鬼子母神はもともと鬼のように恐ろしい女神で、里に降りては人の子をさらって食べていた。神さまが戒めに鬼子母神の子を一人隠すと、狂ったように捜し回ったので、わが子を奪われる悲しみは人も同じだと諭した。鬼子母神は泣いて二度と人の子を奪わないと誓い、以来、子どもを守る子育ての神になったという。毎年三月十八日の縁日には近郷から参詣者が新しいわらぞうりを持って集まる。子どもの歩みが遅いときは古いぞうりを借りて履かせ、代わりに新しいぞうりを置いていくので、堂の格子にはぞうりがたくさん下がっていた。幼児のかんの虫封じにも霊験があるという。
原典より
上広瀬の信立寺には「鬼子母神」を祀る堂がある。—— 狭山市史 民俗編(狭山市(狭山市史編さん室/民俗調査担当)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
狭山市史 民俗編(狭山市(狭山市史編さん室/民俗調査担当))
『狭山市史 民俗編』は、狭山市の市史のうち民俗を扱う巻で、ここにはその「五 伝説・昔話・世間話」の部分が収められている。堀兼・入間・奥富・柏原・水富・入間川の各地区で古老の座談会と個別の聞き取りによって集めた話を、話者の地区・名・生年を添えて載せ、不老川や堀兼の井、影隠地蔵、キツネ、豪商綿貫家の話などを含む。伝説は水・動物・植物・地名・人物・塚・神仏・地蔵・妖怪変化など十項に分け、話ごとに[解説]を付す。