下奥富に伝わる天候と死の俗信
どんな伝承か
狭山市下奥富に伝わる俗信を、佐藤つるが語ってくれた。天気にまつわるものでは、蛇を横切ると空模様が崩れる、猫が耳の後ろから顔を撫でると雨になる、明日が雪だと雀までが食いだめをする、といった話がある。雷除けには軒先に鎌を押し立てておくとよく、雷鳴のときは桑の葉を頭に載せて「くわばら、くわばら」と唱えた。霊にかかわるものでは、人が死ぬと長虫、すなわち蛇に生まれ変わるといい、尻尾の詰まった短い蛇は人がなったものだとされた。烏がひどく騒ぐのは不幸の前触れとされ、同じ年の者が亡くなると、煎餅で両耳をふさいで辻へ捨てる耳ふさぎを行った。蛙は福の神だから粗末にするなとも戒められている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
狭山市史 民俗編(狭山市(狭山市史編さん室/民俗調査担当))
『狭山市史 民俗編』は、狭山市の市史のうち民俗を扱う巻で、ここにはその「五 伝説・昔話・世間話」の部分が収められている。堀兼・入間・奥富・柏原・水富・入間川の各地区で古老の座談会と個別の聞き取りによって集めた話を、話者の地区・名・生年を添えて載せ、不老川や堀兼の井、影隠地蔵、キツネ、豪商綿貫家の話などを含む。伝説は水・動物・植物・地名・人物・塚・神仏・地蔵・妖怪変化など十項に分け、話ごとに[解説]を付す。