板木と高張提灯に化かされた五反田の夜
どんな伝承か
下奥富の五反田は昔、家が三軒しかないさびしい土地で、キツネが出た。大芦の人が青柳へ茶の葉を買いに行き、帰りが夜になった。板木がコンコンと鳴り出し、火事かと思って見ると、高張提灯が連なって前を駆けていく。火事だと叫びながら後を追ううち、提灯は急に消えたが、板木はなお鳴り続けるので走り続けた。やがて空が白み、気がつくと五反田の草むらに突っ立っていた。村人に聞けば、同じところを行ったり来たりしていたという。五反田のキツネに化かされたのだと語られる。
原典より
昔、下奥富の五反田は家が三軒しかなく、大変さみしいところでキツネが出た。—— 狭山市史 民俗編(狭山市(狭山市史編さん室/民俗調査担当)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
狭山市史 民俗編(狭山市(狭山市史編さん室/民俗調査担当))
『狭山市史 民俗編』は、狭山市の市史のうち民俗を扱う巻で、ここにはその「五 伝説・昔話・世間話」の部分が収められている。堀兼・入間・奥富・柏原・水富・入間川の各地区で古老の座談会と個別の聞き取りによって集めた話を、話者の地区・名・生年を添えて載せ、不老川や堀兼の井、影隠地蔵、キツネ、豪商綿貫家の話などを含む。伝説は水・動物・植物・地名・人物・塚・神仏・地蔵・妖怪変化など十項に分け、話ごとに[解説]を付す。