入出村に始まる遠江八月の札降り
どんな伝承か
慶応三年八月、遠江の各地で御札降りが相次いだ。十六日に浜名郡入出村、二十六日に引佐郡鶴代村、二十七日に豊田郡西藤平村、二十九日に浜名郡恒武村と有玉下村で御札が降り、下旬には志太郡一帯にも及んだ。日にちを特定できないものとして浜名郡松山新田村・浅羽村、佐野郡領家村などがある。このうち降札の内訳が記録されているのは入出村だけで、七枚のうち三枚が秋葉札であった。入出村庄屋杉浦治郎八の「諸願御用留」による。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
ええじゃないか始まる(田村貞雄・1986年(昭和61年))
『ええじゃないか始まる』は、田村貞雄が一九八六年に著した幕末の民衆運動「ええじゃないか」の研究書である。慶応三年に三河から遠江・駿河へ広がった御札降りの発端を、牟呂村の「二夜三日正月」、御鍬百年祭、吉田宿の助郷騒動、秋葉信仰との関わりから、村方の文書や日記、市町村史の史料をもとに追う。はしがきに続く八章で発端から波及、仕掛人をめぐる諸説、祭の後の「代替わり」までを論じ、主な史料はその原文を別組で示す。