前出し地蔵と呼ばれる延命寺の地蔵
どんな伝承か
寺や社に性を象った像が伝わるのは珍しいことではなく、祭礼で性器をかたどった物を持ち出す習俗も各地にあった。原浩三の調べによれば、寺方に伝わる性的な仏像はいくつも数えられる。鎌倉市の延命寺にある木造の地蔵菩薩像もその一つで、前出し地蔵と呼ばれている。ほかに滋賀の浄光寺の全裸の阿弥陀、江ノ島のはだか弁天、股間をくすぐると微笑むと伝える飯能奥の無量寺のくすぐり弁天、女体の匂いがするという三明院のにおい弁天などが並ぶ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
講座日本風俗史別巻 妖異風俗((講座日本風俗史 別巻)・日本風俗史・民俗)
『講座日本風俗史別巻 妖異風俗』は、『講座日本風俗史』の別巻として、複数の執筆者が妖しく異様な風俗を論じた巻である。淫祠と性の祭礼、戦後の新興宗教、性にまつわる迷信、妖術・忍術・奇術、憑きものと特殊家系、心霊術と催眠術、異類との婚姻、性と怪異の関わりを、古典の随筆や各地の報告、事件の記録から取り上げる。九つの章に分け、終章「日本妖異風土記」では関東から九州・沖縄までの怪異譚を地方別・県別に掲げる。