隣の母ちゃんの声で誘うむじな
どんな伝承か
昔、加納新田のあたりには、年を経てずる賢くなったむじながたくさんいて人をだましていた。九十六歳まで生きた曽祖母の話では、ある晩寝ようとすると、戸をトントンとたたく者がいる。誰かと尋ねると、隣の母ちゃんの声で、お茶を入れたからちょっと来なさいと言う。急いで着物を着替えて出かけてみると、隣の家は戸締まりがしてあって真っ暗だった。曽祖母はびっくりして頭が真っ白になり、やっとのことで家へ帰ってきたという。
原典より
昔、この辺には、ころひいた(頃経た。年をとって、ずるくなった)むじなが沢山いて人をだましていた。—— 利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説(利根町(編)・利根町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説(利根町(編)・利根町史)
『利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説』は、利根町が編んだ町史の一巻で、第一章を「民話と伝説」にあてる。町内を歩いて聞き集めた話と『北相馬郡志』などから引いた話を収め、大平権現や布川の地蔵の由来、バッソンの笑い話、大蛇・河童・むじなやキツネに化かされた話、押付新田の鶴殺し事件などを載せる。伝説と昔話に分けず文・布川・文間・東文間の地区ごとに節を立て、各話の題に伝承地を添え、話者名や方言の語釈を注記する。