切ると血がにじんだ門の宮のいちょう
どんな伝承か
蛟蝄神社の門の宮では、いちょうの木がご神木とされている。昔、このいちょうを切り倒して酒代にしようとした者がいたが、途中で見つかり、代官には突き出されずに許されたという。明治維新の後、神社にいちょうがあるのは縁起が悪いとして切ることになった。いちょうがあるのは、もとは神社に付いていた神宮寺の名残で、神仏を分ける令で寺が壊されたあと木だけが残っていたのである。ところが途中まで切り進むと、幹から赤い血がにじみ出てきた。皆は驚き恐れて伐採をやめ、以来いちょうが神木という珍しい形のまま今に至っている。
原典より
さて、途中まで切ってくると、いちょうの幹から赤い血がにじんできた。—— 利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説(利根町(編)・利根町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説(利根町(編)・利根町史)
『利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説』は、利根町が編んだ町史の一巻で、第一章を「民話と伝説」にあてる。町内を歩いて聞き集めた話と『北相馬郡志』などから引いた話を収め、大平権現や布川の地蔵の由来、バッソンの笑い話、大蛇・河童・むじなやキツネに化かされた話、押付新田の鶴殺し事件などを載せる。伝説と昔話に分けず文・布川・文間・東文間の地区ごとに節を立て、各話の題に伝承地を添え、話者名や方言の語釈を注記する。