季節で居場所を替える廻り荒神
どんな伝承か
尾張一円では「廻り荒神」という言い方がよく聞かれ、荒神サンは季節ごとに居場所を移すとされる。暦にも載っているので、その影響もあるのかもしれない。花常では荒神サンは大黒柱のまわりにいて年ごとに居場所が変わり、その年いる方角には木を植えたり穴を掘ったり手を触れたりしてはならないという。ただ、いつどこにいるかを気にかける人は大治では少なく、名古屋の中村区や中川区のほうがクド・ニワ・井戸・門と移るとして注意している。大治町で誰もが知っているのは寒荒神で、寒のあいだ荒神サンはクドにいるから触れるなといわれる。
原典より
荒神サンは春夏秋冬居場所を替えるというのである。—— 大治町民俗誌 下――霊と神・怪異・俗信(大治町(編)・大治町民俗誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大治町民俗誌 下――霊と神・怪異・俗信(大治町(編)・大治町民俗誌)
『大治町民俗誌 下――霊と神・怪異・俗信』は、名古屋に接する尾張の大治町の民俗誌の下巻から、信仰にかかわる節を収めたものである。辻の地蔵や秋葉・津島の小祠、荒神・井戸神などムラとイエの神、天王祭り・虫送り・雨乞いなどの祈願、キツネツキ・タヌキ・天狗の神隠し・火の玉・ナンドババアの怪異を、大字ごとの聞き書きで記す。第五節から第九節までで、予兆・禁忌・まじない・民間療法を挙げる俗信の節と、高度経済成長後の信仰の変化を述べる節で終わる。