裏に巣を作った狐を犬のように飼う
どんな伝承か
大治のあたりではキツネが人に憑く話がどの大字でも語られ、憑かれたら僧に祓い経を上げてもらうものとされていた。西条ではキツネがよく女に化けたともいい、化けギツネと見破ったときの言い方まで伝わっている。だが、どのキツネも人に悪さをするわけではない。西条では、自分の家の裏手に巣を作っているキツネがあれば、餌をやって飼いならし、犬と同じように可愛がる者もいたという。恐れて追い払うばかりが付き合い方ではなかったわけである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大治町民俗誌 下――霊と神・怪異・俗信(大治町(編)・大治町民俗誌)
『大治町民俗誌 下――霊と神・怪異・俗信』は、名古屋に接する尾張の大治町の民俗誌の下巻から、信仰にかかわる節を収めたものである。辻の地蔵や秋葉・津島の小祠、荒神・井戸神などムラとイエの神、天王祭り・虫送り・雨乞いなどの祈願、キツネツキ・タヌキ・天狗の神隠し・火の玉・ナンドババアの怪異を、大字ごとの聞き書きで記す。第五節から第九節までで、予兆・禁忌・まじない・民間療法を挙げる俗信の節と、高度経済成長後の信仰の変化を述べる節で終わる。