水神の牛の角を奪った大平様
どんな伝承か
昔、文村の大平(利根町大平)に大平様と呼ばれる大柄で太った人がいた。ある日、利根川で釣りをしようと押付の水神社の境内から突き出た堤で竿を出していると、水神がひどく怒り、潜牛に乗ってやって来て釣竿を奪おうとした。大平様は驚いて傍らの藤づるを投げつけたところ、それが潜牛の右の角にかかって角が折れた。大平様はその角を拾って家へ逃げ帰り、水神は追いかけたが藤山へ逃げ込まれたので諦めて帰った。それで水神の像は右の角のない牛に乗った木像なのだという。明治十年頃、押付水神社の氏子が相談して大平神社の氏子に願い出て牛の角を譲り受け、今は押付の水神社に納めて神像として祀っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
相馬伝説集(寺田喜久(狂花)・相馬郷土研究・1922年(大正11年))
『相馬伝説集』は、寺田狂花が著し、大正十一年二月の自序を付した下総相馬地方の伝説集である。北相馬郡の小文間・布川・取手・守谷などを中心に、平将門や一色宮内にまつわる伝承、寺社の縁起、城址や墓碑、相馬霊場の札所を記し、猿島郡・結城郡・東葛飾郡などの伝説にも及ぶ。巻頭に緒言と坂巻湖舟の序・自序を置き、「△」を付けた小項目を土地ごとに並べ、『相馬日記』『下総旧事考』などの記事を引き、相馬の俗信も書き留めている。