名主を連れてお雪に迫る鳥番役人群平
どんな伝承か
お雪に懸想した役人群平は、その後も度々押付新田のお雪の家を訪れては言い寄った。武士の家に生まれたお雪は口惜しく思いながらも、迂闊に逆らって父に累が及ぶことを恐れて堪えていた。ある日お雪が一人で留守をしているところへ群平が来て、突然その袖を捉えた。お雪は柳眉を逆立て、失礼なさると許しませぬぞと凛然と言い放って手を突き飛ばした。折よく父が帰って難を逃れたが、心配をかけまいと父には話さなかった。群平は松木村の名主権左衛門に胸中を打ち明けて助力を乞い、権左衛門が金十両を携えて探ると、お雪は佐倉の家中の若者と婚約が整い近く結納だという。恋に狂った群平は名主を連れ、役人を笠に着てお雪を強要した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
相馬伝説集(寺田喜久(狂花)・相馬郷土研究・1922年(大正11年))
『相馬伝説集』は、寺田狂花が著し、大正十一年二月の自序を付した下総相馬地方の伝説集である。北相馬郡の小文間・布川・取手・守谷などを中心に、平将門や一色宮内にまつわる伝承、寺社の縁起、城址や墓碑、相馬霊場の札所を記し、猿島郡・結城郡・東葛飾郡などの伝説にも及ぶ。巻頭に緒言と坂巻湖舟の序・自序を置き、「△」を付けた小項目を土地ごとに並べ、『相馬日記』『下総旧事考』などの記事を引き、相馬の俗信も書き留めている。