石を枕にした親鸞と枕石寺
どんな伝承か
下大門町には、日野頼秋の墓と伝わる塚がある。頼秋はもと北面の武士だったという。ある日、旅の僧が頼秋の家に一晩の宿を求めたが、留守を預かる妻は、帰った夫が僧に乱暴するのを案じて断った。日も暮れて行き場のない僧は、門の下で石を枕に横になった。帰宅した頼秋は僧の衣をはごうと棒で打ちかかったが、棒は折れ、体はすくんで動けなくなった。頼秋はただならぬ高僧と悟って罪をわび、弟子となって入西房道円と名のり、寺を建てて仏に仕えた。その僧こそ親鸞聖人で、寺は枕石寺と名づけられた。寺はいま上河合町に移り、下大門の「枕石」という土地は頼秋の住まいの跡といわれる。
原典より
僧は日も暮れていて宿のあてもないので、その門下に石を枕に横になった。—— 常陸太田市史 民俗編――伝説(常陸太田市(編)・常陸太田市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
常陸太田市史 民俗編――伝説(常陸太田市(編)・常陸太田市史)
『常陸太田市史 民俗編――伝説』は、常陸太田市の市史民俗編のうち、第五章「ことばの伝承」の伝説と昔ばなしの部分である。第一節「伝説」は市域の伝説を自然的伝説・社会的伝説・歴史的人物伝説・信仰的伝説の四つに分け、国見山・赤沼・源太郎狐・十王坂・舞鶴城・義家・親鸞・徳川光圀・真弓山の天狗などの話を記す。社会的伝説には地名のいわれや塚・城跡の伝承が多く、第二節「昔ばなし」は冒頭の三話だけを収める。