焼き石で懲らしめた円光院の狸
どんな伝承か
馬場の駒形権現の向かいには、かつて蓮光寺の下寺で円光院という小さな寺があった。留守を預かる坊さんのきんていのもとへは、人に慣れた狸がよく遊びに来て、囲炉裏の向こうでおどけた格好をしたり、芋を焼くきんていをからかったりした。腹に据えかねたきんていは、芋に見せかけて焼いた石を狸に与えて懲らしめたという。後の語り直しでは、木枯らしの夜に蓮光寺の小坊主たんねんに化けた狸が訪ねて来て、ごちそうを平らげて囲炉裏端で寝込み、尻尾を出したうえ八畳敷きに広がった。きんていがそこへ焼いておいた石を投げ込むと、狸は悲鳴を上げて雑木林へ逃げ、それからはあまり悪さをしなくなったという。
原典より
きんていは、この野郎っと思って、芋にみせかけて石をあぶってたぬきにやった。—— 新座市史 第4巻(民俗編)――伝説と昔話(新座市(編)・新座市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新座市史 第4巻(民俗編)――伝説と昔話(新座市(編)・新座市史)
『新座市史 第4巻(民俗編)――伝説と昔話』は、新座市が編んだ市史の民俗編のうち、第四章「伝説と昔話」にあたる部分である。野火止の地名と在原業平の東下りを結ぶ伝説を『伊勢物語』や『新編武蔵風土記稿』などの記録とあわせてたどり、妙音沢・かしらなし・小僧ヶ淵・強清水などの場所をめぐる話、観音や地蔵の霊験・縁起の話を取り上げる。節ごとに解説を置き、『こども広報にいざ』などに載った再話や古老からの聞き書きを引く。