白竜が膳椀を貸さなくなった鐘々ガ渕
どんな伝承か
昔、祝儀や不祝儀のときには鐘々ガ渕へ膳椀を借りに行くならわしがあった。何人分を貸してほしいと口で頼むと、渕の岩の上にちょうどその数の膳椀がそろえて置かれていた。ところがある時、借りた膳か椀の一つを壊したまま返しに行った者がいた。すると白竜がどこからともなく現れ、恐ろしい目でにらみつけて、不届き者にはもう貸さないと言い渡した。それからは、いくら頼んでも膳椀は出てこなくなり、村の人々は不便な思いをしたという。
原典より
むかし、祝儀不祝儀の際に、鐘々ガ渕へ、膳椀を借りに行くことになっていたって。—— 高山村の民俗――昔話(群馬県民俗調査報告書 第21集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高山村の民俗――昔話(群馬県民俗調査報告書 第21集・群馬県民俗調査報告書)
『高山村の民俗――昔話』は、群馬県民俗調査報告書の第二十一集から、年中行事の末尾と「口頭伝承」の部を収めたものである。口頭伝承は昔話・伝説・世間話の三つに分け、桃太郎・蛇婿入り・食わずの女房などの昔話、弘法の投筆や椀貸の渕・小太郎渕の伝説、怪力の馬之丞やアズキトギ・見越シ入道・かくしばあさんの世間話を載せる。各話の末尾には、中山字原・尻高字熊野・北之谷などの採録地と話者を添える。