榛名湖の主だった善導寺の老女
どんな伝承か
善導寺にいた何代か前の老女は、じつは榛名湖の主だったと語り伝える。老女は五月五日に湖へ出かけ、水を飲むと言って中へ入り、そのまま蛇の姿になってしまったという。それからというもの、寺の僧は毎年その日に行器へ赤飯を詰めて湖へ運び、舟で真ん中まで漕ぎ出して供えるならわしになった。供物を流すと、返礼として行器の中に大蛇の苔が三枚入れられて戻ってきたと伝わる。
原典より
それからは、善導寺の坊さんは、毎年五月五日になると、ホケエ(行器)にこわめし(赤飯)をいれて榛名へ行き、舟に乗って湖の真中へ行って、そのこわめしをまけてきたつう。—— 日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。