御納米に腰かけて叱られた光圀
どんな伝承か
水戸藩二代藩主の徳川光圀は、領内巡視のためこの地方をたびたび訪れている。ある時、おしのび姿で大井戸へ出向いた光圀は、河岸の近くまで歩き、御納米倉庫の前に積んであった米俵に腰をおろして、湖の景色を眺めながら一服していた。そこへ水汲みから戻った倉番の野口家の老婆が、この俵を何と心得るか、水戸様へ差し上げる御納米に腰かけるとは罰当りだと恐ろしい剣幕で怒鳴り、天秤棒で殴りかかった。さすがの光圀も閉口して老婆をなだめ、御料米を大切にする心がけこそ感心だとほめて、終身五人扶持の褒美を与えたという。
原典より
水戸黄門の名で広く知られた義公、徳川光圀は、水戸藩第二代藩主で、たびたび領内巡視などのため、この地方を訪れているが、これはいつのころか、義公がおしのび姿で大井戸に出向かれた時の話だという。—— 日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。