稲田神社の扉に手を挟まれた黄門
どんな伝承か
元禄のころ、天下の副将軍と呼ばれた徳川光圀が稲田神社に参詣した。古びて傷んだ本殿の扉のすきまから中をのぞこうと手を差し入れたとたん、扉が急に閉じて手が挟まり、どうしても抜けなくなった。あまりの痛みに大声で供を呼び、駆けつけた者がようやく扉を開けて手を抜いたという。社の霊験に驚いた黄門は、我を張った自らを恥じて詫び証文を納め、のちに日月四神の品を寄進したと伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。