凶事を濁りで告げる七つ井戸
どんな伝承か
行脚してきた弘法大師が古山に着いたとき、暑さで喉がひどく渇いた。農家の老女に水を一杯乞うと、老女は快く引き受けたきりなかなか戻らず、やがてきれいな清水を差し出した。わけを尋ねると、この辺にはよい水がないので遠くまで汲みに行ったのだと答えた。大師はその心根を喜び、礼を述べて錫杖で土手ぎわを突いた。するとたちまち清水が湧き、どんな日照りにも涸れなかった。その後、村内七か所から水が湧き、七つ井戸と呼ばれた。村に凶事があるときは二、三日前から井戸が濁って前兆を示したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。