清涼殿で光を放った弘法大師
どんな伝承か
著者は、真言密教の即身成仏とは、瞑想と加持の力によって粗い肉体を清らかな身に作り変えることだと説き、その例証に弘法大師の伝えを挙げる。大師が清涼殿で八宗の高僧たちと宗論をした折、即身成仏を唱えたところ、それなら実際にやってみせよと迫られた。そこで大日如来の智拳印を結んで瞑想に入ると、たちまち全身から金色の光を放ち、輝く仏の姿になったという。これには催眠術だという説も、まったくの作り話だという説もあるが、著者は、真心を込めて行えば自分の顔かたちを変え、他人にそれを実感させることもできると述べる。
原典より
其の例證として、弘法大師が清涼殿で、八宗の碩德と宗論をやつた時、即身成佛を主張し、然らば實際やつて見よと云はれ、大日如來の智拳印を結び入定したならば、忽ち全身から金色の光明を放ち、輝く佛の相になつたといふて居る。—— 修羅挑天 仏教より観たる幽霊の正体(修羅挑天・仏教・幽霊論・1931年(昭和6年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
修羅挑天 仏教より観たる幽霊の正体(修羅挑天・仏教・幽霊論・1931年(昭和6年))
『仏教より観たる幽霊の正体』は、修羅挑天が著し、昭和六年に中央出版社から発行された、仏教の立場からの幽霊論である。霊魂観念の変遷、四悪趣と幽霊、幽霊の定義と分類を説き、責任感の強い幽霊・嫉妬の幽霊・復讐する幽霊などを、新聞記事や著者が自ら調べた明治から昭和初めの実例、英国の霊媒の家や天津での見聞で示す。緒説と十段からなり、後半では倶舎論・唯識論・起信論・法華経・真言密教・浄土門の教えに照らして幽霊を論じている。