月崇寺に育った小萩と小栗助重
どんな伝承か
照手姫は佐竹義篤の弟篤光の娘で、幼いころは小萩と呼ばれ、笠間の月崇寺で育てられたという。彼女が使った井戸は萩の井と呼ばれる。小萩は七歳のころ何者かにさらわれて売られた。おりしも常陸の小栗は足利持氏らに所領を奪われ、敗れた助重は家来十人と落ちのびる途中、相模の横山太郎の家に泊まる。宝を狙う横山は毒酒を用意したが、屋敷に売られていた小萩が助重に告げたため彼だけは助かり、荒馬の鬼鹿毛に乗って逃れた。のちに所領を取り戻した助重は横山を討ち、小萩を探し出して妻とし、照手姫と呼んだと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。