つづらに入って聞いた説法
どんな伝承か
稲田の西念寺から十二キロほど離れた福田に、弥七という貧しい夫婦が住んでいた。二人は親鸞を信じていたが、外へ出るための着物が一枚しかなかった。親鸞の説法がある日、弥七は裸同然の妻をつづらに入れて背負い、稲田まで出かけたという。説法の最中に妻の姿が人目にさらされ、集まった人々はどっと笑った。すると親鸞は、弥七の妻こそまことの信心を持つ者であり、外側をどれほど飾ろうとも心に真実がなければならないと言って、その妻を褒めたたえたと伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。