経を唱えて去った大師と固い芋
どんな伝承か
弘法大師が托鉢の途中で農家に立ち寄ると、留守居の老女がよく煮えた芋をざるにあげていた。少し施してほしいと乞うたところ、老女はこれは石のように固い芋だから坊さんにはやれないと言い、振り向きもしなかった。大師は低い声で経を唱えながら去って行った。するとうまそうだった芋はにわかに固くなって食べられなくなり、以後その家の畑で作る芋も同じようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。