夫を捜して鳥になった妻と父不見山
どんな伝承か
多野郡万場町森戸の南にそびえる山を父不見山という。かつては毎年野火をかけたため木の生えぬ裸山だった。ある夫婦が蕨を採りに入ったところ、帰り際に夫の姿が消えた。妻は翌日、弁当をこしらえて捜しに向かったきり戻らない。残された子が村人を集めて幾日も山狩りをしたが、隠れる木もない山で二人は見つからなかった。ひとり山へ入った子の前に見知らぬ鳥が飛んできて、おっとカケスと鳴いた。母が鳥に化して夫を捜しているのだといい、父はついに見つからず、山は父を見ずと呼ばれるようになったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。