阿漕が浦の片目の魚とまこも
どんな伝承か
村松皇大神宮は、東北の人々がわざわざ伊勢へ参るのは大変だろうというので、元禄四年九月十九日に水戸光圀が伊勢の皇大神宮をこの地へ遷したものだという。その折、伊勢の阿漕ヶ浦から魚も一緒に移された。長い道中のうえ暑い盛りだったので、器に入れ、まこもを敷いて運んだところ、そのまこもが災いして魚の目がすれ、片目が白くなってしまった。そのせいか、この阿漕が浦にはまこもがまったく生えない。よしは生えるのに、葉に細かい毛のあるまこもだけは見あたらないのだと語られている。
原典より
<高木——「片眼魚」>「村松皇大神宮は、元禄四年九月十九日に、東北の方々が、わざわざ伊勢参りに行くのが大変だろうからっていって、水戸光圀公が、伊勢の皇大神宮さまをここさおうつしになったんですよ。—— 日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。