左目のつぶれた沢の鰍
どんな伝承か
昔、後三年の役のとき、黒沢の阿部しろ沢に、左目を弓矢で射られた鎧武者が一人逃れて来た。武者は突き刺さった矢を抜き、その沢川で目を洗ってしばらく傷を癒していたが、やがてどこへともなく姿を消してしまったという。それから後、阿部城沢にすむ鰍は不思議と左目がつぶれていると伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。