大鷲にさらわれた八右衛門と大助
どんな伝承か
牛方や雑魚捕りを生業にする築掛げ八右衛門が、五月節供の休みに牛を洗っていると、大鷲が舞い降りて牛をさらっていった。八右衛門が熊の皮を被って牛の真似をしていると、鷲は今度は彼を佐渡ヶ島の巣まで運んだ。牛の仇と、八右衛門はヒナもろとも鷲を殺したが、帰る手立てがない。そこへ大魚が現れ、十月になれば親方の大助が最上川を遡るから頼めと教えた。えびす講の日に呼ぶと馬ほどもある鮭が現れ、名を聞いて怒ったが、二度と魚を捕らぬと約束させて小国まで送り届けた。大助は「鮭の大助、今のぼる」と唱えながら来る。その声を聞くと不吉なことがあるといい、村人は餅を搗いて騒いでいたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。