大亀と大蛇が争った小国郷の湖
どんな伝承か
その昔、小国郷は四囲の峰々に囲まれた一大湖水であり、湖の主を自任する大亀が棲んでいた。ところが権現山のあたりには山の主と名のる大蛇がおり、あるとき湖の北はずれで二匹が出会って、どちらが湖の主かと口論になった。決着がつかず、力の強い者が主になろうと七日七晩争い合い、湖水には大波が渦巻いたという。ついに力尽きた大亀は、西はずれの山に大穴をあけて逃げ出し、もとよりこの湖は自分のものだと言って水をすべて落としてしまった。水を落とした口が今の瀬見、その山を亀割山と呼ぶようになり、干上がった跡に小国盆地の村ができたと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。