葉山権現の池に降りた天女
どんな伝承か
昔、今の上真野村御山の葉山権現の側に大池があり、この池にはよく天女が降りて水浴びをしたという。ある夏の暑い日、数人の天女が羽衣を木に掛けて水浴びをしていたところへ、一人の漁夫が通りかかった。天女たちは驚いて昇天したが、一人だけは気づかずに水浴びを続けていた。漁夫は羽衣を見つけ、ただの衣ではあるまいと持ち帰り、瓶に入れて庭先に埋めた。そのため天女は昇天できず、賤しい女に化けて男の家に行き、夫婦となって男の子を生んだ。子が三歳のとき、庭を掘り起こして羽衣の瓶を見つけ母に告げると、天女は喜んでこれを着て昇天した。残された子は仏を好み、四歳で剃髪して玄昌と号し、後に非凡の高僧となったと伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。