余呉湖の羽衣と菅山寺の稚児
どんな伝承か
余呉湖のほとりの大きな柳に天人が衣を掛け、近くで水浴びをしていた。川並の男がその羽衣をあまりに美しいので持ち帰ったため、天人は天へ戻れず、男の妻になった。子が一人生まれたが、守り子の歌から衣の在処を知った天人は、衣をまとって天へ帰ってしまう。乳のない父は子を湖辺に捨てた。東の山にある菅山寺の僧が、勤めのたびに法華経を読む声が聞こえるといい、弟子を遣ると赤子が岩の上に寝ていた。僧は連れ帰り、麓の坂口の飴で育てた。この子が菅原道真で、十六の年まで寺にいて、池に映る姿を刻んだ木像は今も菅山寺にあると伝わる。
原典より
余呉湖のね、周辺にあの今でもありますわ。—— 日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。