桃売りと入れ替わった殿様
どんな伝承か
百姓の若者が夏の川辺で水を浴びる三人の天女のうち一人の羽衣を隠し、天に帰れなくなった女を妻にした。妻の顔ばかり見て働かないので、天女は自分の絵姿を描いて畑へ持たせたが、つむじ風がさらって行った。絵姿は殿様の御殿の庭に落ち、天女は召し出される。別れ際、桃の種三つを夫に渡し、三年目に実ったら御殿へ桃売りに来いと言い置いた。三年目、若者が桃売ろと触れると、三年笑わなかった天女が初めて笑った。喜んだ殿様は衣を取り替えて自ら桃売りとなり、門外まで出て門番に追い出され、若者は殿様となって妻と御殿に住んだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。