鷲に攫われた娘を救った鮭の大助
どんな伝承か
気仙郡花輪村の竹駒という所に美しい娘があった。或る時この娘を一羽の大鷲が攫い、有住村の角枯し淵に落とした。すると淵の中から一人の老翁が現れ、娘を背に乗せて家まで送り届けてくれた。実はこの老翁は鮭の大助であった。後に老翁は強いて娘に結婚を申し込み、遂に夫婦となったという。その子孫は今も決して鮭を食わないと伝える。これに添えて、遠野町裏町の医者の愛娘が表へ出たまま行方知れずとなり、三年ほど後に台所の流し前へ一尾の鮭が跳び込んだので、その家では鮭を食わなくなったという話も記されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。