拾った死人で酒屋を強請る寡婦
どんな伝承か
或る所に怠け者の若者があった。毎日ぶらぶらして仕事もせず暮していたところ、ある寡婦がこれを引き寄せて、道を歩くときは何でも目についた物を拾って来るものだと悪知恵を授けた。若者は言いつけ通りに往来から布切れや木屑を拾って来て、寡婦の暮しの助けにしていた。ある夜、若者が若い女の屍を拾って来ると、寡婦はこれはよい物を拾って来たと言い、死人の髪を梳き、化粧をさせて小綺麗に身仕度をさせ、若者に担がせ、自分は樽を持って一緒に酒屋へ行った。よい塩梅に死人を戸に凭せかけ、酒をくれと言い捨てて二人は逃げ帰った。番頭が戸を開けると女は倒れ、二人はうちの嫁を殺したと難題を吹っかけて、酒屋から百両を取った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。