死人を着飾らせて金を得た夜稼ぎ智
どんな伝承か
或る所に、たいそう不精な智があった。昼は寝て夜は遊び歩き、仕事を言いつけると却って悪いことをする有様で、博打ばかり打って回っていた。ある時、舅が夜になって働きに行って来いと言うと、智は寺の墓場で死人を掘り返し、担いで来て戸口に置いた。翌朝、舅が昨晩は何を稼いだかと問うと、昨夜の仕事は戸口にありますと答えた。見ると若い女の死骸があった。智はその死人を洗い清め、髪を結って美しく着飾らせ、駕籠に乗せて御宮の祭礼へ担いで行った。宮の玄関で死人を出しておいおいと泣いていると、参詣の殿様が訳を尋ねた。舅が祭りに娘を連れて来たが玄関でつまずいて死んだと申し上げると、殿様は不憫に思って沢山の金を与えて行った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。