泥だらけになった勝善寺の太子像
どんな伝承か
昔、勝善寺が沼目にあったころのこと。紋右衛門という農家に旅の僧が来て、笈を預けて去っていった。いつまでたっても取りに戻らないので中を改めると、太子の像が納められていた。ある年、人手がなくて代掻きができずに困っていると、十一、二歳ほどの童がやって来て馬の鼻取りをしてくれた。代掻きが済んだときには、童の姿は消えていた。翌朝、仏壇を開けてみると、太子の像が泥だらけになっている。太子様が童に姿を変えて手伝ってくださったのだと分かり、家に置いておくのはもったいないというので、像は勝善寺に納められたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。