嫁入りの夢で抜けた歯と夫の死
どんな伝承か
昭和二十一年、長野県須坂市の女性が、自分が花嫁になる夢を見た。「こんな年で、その上主人もいるのにどうしたことか」と不思議に思いながら三三九度の盃を重ねようとしたところ、上の歯がすっぽり抜けてしまった。この夢を見た数日後、実際に夫が亡くなったという。歯が抜ける夢を不吉の前兆とする民間信仰にまつわる体験談である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。